〔特別レポート〕 神宮神田で生まれた奇跡の米イセヒカリで醸した 純米大吟醸4種と、新銘柄の純米吟醸3種を 伊勢を代表するシェフたちにテイスティングしていただきました

2025/10/02

 

〈試飲いただいたお酒〉

①帚之滴 ははきのしずく ②橘香 きっか ③宇豆の響 うづのひびき

④里慕音 りぼーん ⑤里慕音  海中熟成酒

⑥伊勢の希(甘口) いせのまれ ⑦伊勢の希(辛口) いせのまれ

 

 

 

 ヒカリ酒販では2025年夏、新銘柄「帚之滴(ははきのしずく)」「橘香(きっか)」「宇豆の響(うづのひびき)」を一斉リリースしました。

 仕込みに隕石を用いた「帚之滴」、鳥羽市の花・やまとたちばなから分離させた花酵母を使用した「橘香」、銀河からの慈愛をイメージした「宇豆の響」と、コンセプトも造りも3種3様。同じ蔵で杜氏が同時期に手をかけ、愛情を注ぎながら醸した純米吟醸です。

 いずれも実験的な試みによる少量生産で、味わいもそれぞれ異なります。ぜひフレッシュな味わいを、多くの方々に飲み比べていただきたい。

 そこで、伊勢志摩を美食の聖地にと活動する料理人のグループ「エバーグリーン常葉の会」の方々に飲み比べをお願いしたところ、快諾いただいたので、奇跡の米イセヒカリで醸した純米大吟醸を追加。合計7種類のお酒をテイスティングしていただきました。

 みなさまの好みに合う、日本酒選びの参考になりましたら幸いです。

 

 

 

〈参加メンバー〉

エバーグリーン常葉の会より

河瀬 毅さん ボンヴィヴァン(フランス料理) 

福井 隆一さん ル・バンボッシュ(フランス料理)

泉 幸一朗さん 千代幸(うなぎ)

西村 哲平さん 柿右衛門(手打ち蕎麦)

松原 京介さん 伊勢三玄(日本料理)

 

 

 

 

まずは新銘柄「帚之滴」「橘香」「宇豆の響」を

 

 

 

福井さん:3種とも造りがクラシックですね。三重県の酒蔵は近年、三重で開発されたMK酵母を用いて香りが華やかなお酒をめざしているところが多いんですが、「帚之滴」「橘香」「宇豆の響」の場合、「橘香」にフルーティーな香りを感じるものの、他は香りがおとなしめ。酵母の選択によるのでしょうか。フレンチに合わせるなら冷やして「橘香」かな。

 

 

河瀬さん:3種はいずれもどっしりしていて、ヒカリ酒販で扱うお酒やなと感じますね。ただ、フレンチに合わせるとなると、どれもまだ何に合うか想像が付かず、お酒単体として楽しんでいる状況。どれも常温より少し冷やした方がより良いように思う。

 

西村さん:「橘香」に野生味を感じました。「宇豆の響」は十割蕎麦に合いそうと思うけど、「橘香」では蕎麦が負けてしまいそう。

 

泉さん:3種どれを合わせても鰻に合うと思います。「橘香」は最初は香りの主張を感じるけど、飲んでみると味がしっかりしていて安心して飲めますね。

 

 

「里慕音 」の海中熟成に興味津々

 

 

西村さん:里慕音と海中熟成は、元が同じお酒なのに海中熟成の方が透明感があって、元のお酒のいいところが凝縮されたような印象。

 

河瀬さん:海中熟成のほうが、味が濁ってないよ。研ぎ澄まされてる。

 

福井さん:(しばし無言のあと)……「里慕音」うまいですね。

 

泉さん:海中熟成のほうがマイルドな感じ。古酒っぽさがちょっとあるのは瓶熟成のおかげ?

 

ヒカリ:里慕音そのものが、低温倉庫で7年寝かせたものなので、大きな変化ではないものの、こなれた感じがしてくると思います。海中熟成は、瓶詰めされた「里慕音」の口を蝋付けしてから、鳥羽・神島沖の海中に沈めて一定期間、波に揺られることで変化した味わいを楽しんでもらうために行っています。

  

 

「伊勢の希」は甘口派? 辛口派?

 

 

 

河瀬さん:辛口がうまいなあ。

 

西村さん:ですよね。僕も辛口派です。

 

福井さん:山田錦より小粒なイセヒカリを、精米歩合30%まで削ってるのに、意外と香りが残ってますね。

 

泉さん:自分は前から「希」の辛口がお気に入り。日本ガストロノミー協会の会長がいらしたとき、うちの鰻に「伊勢の希」はよく合うと絶賛してみえました。

 

ヒカリ伊勢らしい地酒をと、希少米イセヒカリに、伊勢市内で130種類もの草花をDNA解析した中からたった一つだけ見つかった野生酵母をかけ合わせて醸造したのが「伊勢の希」です。最初に完成したのが甘口で、辛口も欲しいという要望を受けて、後から辛口が誕生しました。

 

 

 

総評タイムに駆け付け7

 

 

松原さん:遅れてすみません。7種類を間髪いれずに飲み比べたことで、山田錦とイセヒカリという米の違いが非常に分かりやすかったです。イセヒカリは香りがあまりしない性質なのかな。「里慕音」と「海中熟成」は、同時に飲み比べると後者のほうが味が濃縮されてるのを感じます。日本料理には「橘花」が一番難しいというか、合わせる料理がパッと浮かばなくて。「帚之滴」と「宇豆の響」は、冷やしたら料理と好相性なのがわかります。

 「伊勢の希」は、高級な純米大吟醸によくある「めちゃくちゃ米を削りました」という香りと味が、山田錦に比べると淡白ですね。そのぶん、一杯で終わってしまう食前酒でなく、2合、3合と杯を重ねられると感じました。

 

福井さん:わたしは「里慕音」が秀逸でした。イセヒカリが硬質なお米という割に、よく溶けてるなあと。今日いただいたお酒はどれも、時代に媚びない古風なタイプで、女性人気を狙うトレンドとは異なって、清酒が好きな人に受けるお酒。お米感があって、お燗が合う。

 「希」は燗にしたら、柿右衛門の鴨南蛮に合うと思うよ。フレンチに向くのは「橘花」。スパイスや胡椒を効かせた料理がいけるはず。

 

河瀬さん:「希」の辛口が一番好き。うちでは「希」は、肝の料理に合わせることが多くて、鮑の肝とか鯛料理のソースに使ったり……。

 

福井さん:鮑にしろ平目にしろ、肝にワインは難しいですよね。魚卵もそう。イクラとかキャビアも、日本酒のほうが合うと思ってしまう。

 

泉さん:河瀬さんと同じく、「希」の辛口が一番好き。純米大吟醸なのでもったいないからしないけど、燗してもいいかも。

 

福井さん10年くらい前からフランス料理やイタリア料理にワインだけじゃなく、日本酒を合わせていこうという潮流があって。それは白、赤、泡、オレンジ……と横に軸が広がるワインと違って、日本酒は同じ1本でも温度帯で味が変化するというタテ軸の面白さがあり、日本人はそれを細かく説明できるから、海外の人にも魅力を感じてもらいやすい。

 業界が推していかなくても、日本人がつくるフレンチやイタリアンに日本酒が合わないわけないのは自明のことで、日本酒はなにしろ懐が深いですよ。

 

ーー本日は長時間にわたり、ありがとうございました。

 

〈ご協力いただいた皆様〉

エバーグリーン常葉の会

2019年夏、伊勢志摩の料理人12名で結成。国内外の美食の聖地を訪ねて、知識と感動を共有しながら、故郷伊勢志摩のおもてなしと美食のレベルアップを志して活動を続ける。多気町で開催される「世界料理学会 in VISON」は、エバーグリーンのサポートがあってこそ。

 

 

 

 

フランス料理

ボンヴィヴァン

Kawase Takeshi

伊勢市本町20-24

0596-26-3131

https://bonvivant1983.com/

 

 

フランス料理

ル・バンボッシュ

Fukui Ryuichi

伊勢市辻久留2-10-3

0596-26-1040

https://www.le-bam.com/

 

うなぎ

千代幸

Izumi Koichiro 

伊勢市小俣町本町926 

0596-26-3181

https://unagi-chiyoko.jp/

 

 

手打ち蕎麦

柿右衛門

Nishimura Teppei

伊勢市旭町366-1

0596-22-5050

 

 

 

日本料理

伊勢三玄

Matsubara Kyosuke

伊勢市御薗町長屋1362

0596-24-7300

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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